こんにちは、Syurimpです。
この記事は、行政書士の現場でご活躍されているsweetflowerさんにご寄稿頂きました。
全3回に分けての連載です。
第1回は、行政書士試験を1回で合格されたsweetflowerさんの勉強方法のコアをシェア頂きました。
この記事(第2回)は、数ある行政書士の教材の中でもとりわけコストパフォーマンスに優れる「フォーサイト」の教材をレビューして頂きます。
フォーサイトのテキストは行政書士合格にどう役立つのか?また、足りない部分はどこかを、行政書士合格者の視点からお伝え致します。

スタディングの教材の特徴、フォーサイトと違う点もお話し頂いてます。
第3回は、スキマ時間や通勤時間に集中的に学ぶビデオやテキストを提供するスタディングについてsweetflowerさんの視点から評価して頂きます。
それでは、sweetflowerさんよろしくお願いしますm(_ _)m
合格に近づくための勉強法~フォーサイト編
Syurimpさんありがとうございます!
改めましてsweetflowerと申します。よろしくおねがいします(*^^*)
前回は、私の行政書士合格体験を通して勉強で大事にした考え方や戦略についてお話し致しました。
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行政書士の独学勉強法!プロの行政書士が教えます
行政書士に1回で合格し、現在も現場でお仕事されていますsweetflowerさんに寄稿頂きました。試験に対する心構えと具体的な勉強スタイルについて「合格に必要な3つの力」をシェアしてもらいました!
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勉強の戦略は合う合わない個人差があります。ただ、行政書士の試験範囲というのはものっすごく広いです。一度本気で学ぶと痛感すると思います。
どの試験でも同じですが、「選択と集中」で突破するのが一番現実的でしょう。
さて、いよいよお待ちかね(?)この記事から有名講座2つを使った合格に近づくための勉強法をご紹介します。
まずはフォーサイトからいってみましょう。(スタディングのレビューはこちらの記事で解説してます)
フォーサイトとは
フォーサイトは各種資格試験の通信講座です。(フォーサイトが提供する行政書士テキストはこちら)
以前はDVD・CDとテキストで学習を進めるスタイルでしたが、オンライン化の勢いもあって今はオンラインシステム&テキストで進めています。
通信講座のフォーサイト?それとも通学講座?どちらがベスト?
そもそも、行政書士試験ってフォーサイトで本当に受かるのでしょうか。
「情報量が足りないのではないか」
「安いお値段なりの効果しかないのではないか」
と不安になりますよね。
合格者としてフォーサイトの教材をやってみた感想を正直にお話しすると…満点を目指したい人は通学講座(予備校など)に通うべきだと思います。
フォーサイトでは満点を取るための知識は身に付きません。テキストに書いてある情報量が少ないですからね。
それにオンライン授業よりも生の授業の方が頭に残りやすいですし、生のやりとりならではの細かな知識もあるでしょう。
記述式問題の採点だって、その場でやってもらえますしね。
でも!合格点を取るための知識なら、私はフォーサイトで十分だと思います。
記述式問題の添削は少し不利かなと思いますが、行政書士試験の記述式問題は30字前後と短く、基礎的な知識+文章をまとめる力が問われます。
フォーサイトのテキスト自体がよくまとまっているので、そのまま書けば合格ラインの文章が書けるはずです。
最終的には好みなんですが、個人的には、
- 満点で完璧に合格したい⇒通学講座(学校でガッツリ学ぶ)
- とにかく合格したい⇒フォーサイト
がおすすめです。
前者は、資格の大原といった学校ですよね。
勉強する環境を徹底的に作り上げて、
そこを起点にモチベーションを出す。
若しくは講師の方に直接たくさん質問して疑問を解消したい。
そういう人は向いてます。
(ただし、現実的な出費はフォーサイトの3倍します)
後者は、フォーサイトや次の記事で話すスタディングを指しますね。
Syurimpさんがフォーサイトとスタディングを比較した記事を書いているのですが、
お値段的にはスタディングに軍配が上がります。
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スタディングとフォーサイトを徹底比較しました
続きを見る
見かけの価格じゃなく、
実際に初学者が受講するべきコースや、
キャッシュバック制度などを使って現実的な価格を算出、比較してます(記事参照)。
それでも行政書士の場合、
スタディングはフォーサイトよりも3万円近く安いです^^;
さっきのTHE学校的な通学講座と比較すると、
スタディングはその4分の1の価格です。
勉強に投資する予算が限られている方は、
選択肢が増えますね。
ただし、スタディングは原則質問サポート無し、
フォーサイトは質問サポートがあり、
といった違いがあります。
それぞれの強みや特徴をひと通りチェックして、
ご自身にピッタリの講座を選ぶのが何よりの合格の近道ですね。
価格は講座選びの要素のひとつに過ぎませんからね。
ではでは、本題に戻ります。
フォーサイトの教材の良い点、改善点について、
私の気づいたことをお話しさせて頂きます。
フォーサイトの行政書士で学んで「いい!」と思った点
テキストはフルカラーでわかりやすく、紙質・文字の大きさ・めくりやすさもGOOD。気に入りました。
科目ごとに分割してあるのもいいですね。持ち歩きも簡単で、どこでも気軽に持っていけそうです。
一番いいなと思ったのは、テキストのメモ欄が大きいこと。
試験直前は今まで勉強したことを見直すことが大切ですが、メモ欄に書き込んでいれば見直しも簡単です。
勉強しながら、直前に見直せる自分だけのバイブルが自然と出来上がるのってとても心強いと思います。
肝心の中身も文句ありません。
基礎知識が取捨選択されており、このテキストさえ暗記&理解できれば、基礎知識はバッチリだと感じました。
必要な条文も書いてありますし、判例もしっかりとまとまっているので、この他に参考書などを買う必要もないと思います。
やるべきテキストが1冊だけで済むっていうのは、かなりポイント高いです!
言い換えると必要最低限の情報に不安を覚える可能性も
基本知識はまとまっているけれど、本当に最低限の基本知識だけです。
テキストに書いてあることすべてを本当に理解して、結び付けて推測する力を自分で工夫してつけていかないと、本番では手も足もでないと思います。
また、3時間以上のまとまった時間をとって勉強する工夫も必要です。
行政書士試験は3時間と長く、とても疲れます。ややこしい事例問題を3時間集中して考え続ける練習が必要です。
でもフォーサイトはコンパクトにまとまっているので、長時間集中する練習にはなりません。この点も自分で工夫して、補わないといけません。
フォーサイトで合格率を上げるための勉強プラン
フォーサイトのいい点悪い点を合わせて、もしも今私がフォーサイトで行政書士試験に挑むなら…という視点で勉強プランを考えてみました!
授業感覚で知識のインプットを進めていきながらアウトプットも早めから始めていくのが、合格への近道だと思います。
つまり、
- テキストを読む(予習)
- 基礎講座を受講し、メモをとる
- もう一度テキストとメモを見る(復習)
- 5日分の復習+過去問
- フリーの日(ときどきテスト)
- 復習する
- 暇な移動中はManaBunを使ったeラーニング!
というプランです。1〜3は平日、4,5は週末、6,7はお出かけ時ですね。
平日:テキストを読む(予習)
新しいことを学ぶときは、いきなり話を聞いてもダメです。
『今日なにを学ぶのか』を予習しておくと、すっと話が頭に入ってきます。
まずはテキストを読んでみましょう。
最初に関連条文がのっているので、声にだして読んでみてください。
条文は独特の文法と言葉使いで書かれているので、最初は「どういう意味?」と思うものも多いと思います。でも2週間もすれば慣れてきて、すらすら読めるようになります。
最初は根気が必要ですが、条文をさっと読む力は実務でも欠かせません。将来を意識してがんばりましょう。
条文を音読したら、自分なりにわかりやすい言葉に置き換えてみましょう。
たとえば、
『国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。(憲法第11条 前段)
→日本国民は、みんな基本的人権をもっている』
という具合です。こうすれば、覚える努力をしなくても内容が頭に残ります。
条文に続いて、テキストを読み進めていきましょう。
フォーサイトのテキストはやさしい言葉で書いてあるので、初学者にもわかりやすいです。
でも、法律用語などの聞いたことのない言葉もあると思います。
もしわからなくても、気になくて大丈夫。鉛筆で丸をつけて、DVDを受講するときに注意して聞くようにしましょう。
予習段階で疑問を作っておくと、受講中にどんどん賢くなっていく感じがして楽しいですよ。
読むのにかかる時間はおそらく、初学者でも1単元30分~1時間ほど。短い単元なら15分かからないと思います。
平日:基礎講座を受講し、メモをとる
予習ができたら、さっそく基礎講座を受講していきましょう。
フォーサイトの講義はテキストを基に進んでいきます。板書に追われる心配がないので、先生の話を聞き逃す心配がありません。
先生は法律用語をわかりやすく言い換えてくれたり、具体的な事例やたとえ話をしてくれたりはくれます。適時メモをとって、どんどん覚えていきましょう。
また、行政書士試験の大半は事例問題です。先生が話してくれた事例やたとえ話を簡単に図表にまとめる訓練をしておくと、本番で時間の節約ができます。
たとえば、
『AさんがBさんに車を売ったが、Bさんは未成年だったため、Bさんの親が契約の無効を求めた』という事例なら、
Bの両親⇒ A→車→B
無効 ←金←
という具合に、自分なりにルールを決めて、事例をシンプル化する練習をしていきましょう。
試験の事例は一見かなり複雑なものが多いですが、シンプルに図表化してしまえば、意外と単純で基本的な問題の場合も多いんですよ。
また、大事なとこは先生が線を引いたり囲ったりしてくれます。同じところに線を引きましょう。
赤字・黒字と合わせて、覚えるべきところがわかりやすくなります。そこが必要な基礎知識ですから、集中して暗記しましょう。
フォーサイトのテキストには、メモする部分がたくさんあります。授業で気になったところはどんどん書き込んでいきましょう。
『テスト前にこれさえ見直せばOK』になるよう、覚えたいことは全部ここにまとめちゃうのがおすすめです。
暗記のためのゴロ合わせなども書いておくと内容を思い出せて便利ですよ。
フォーサイトの先生は雑談はあまりしないようですが、合格体験記によるとちょいちょい面白い発言もあるようです。
ここは好みがわかれると思いますが、私は笑いもインパクトだと思うので、ぜひ知識と関連づけてメモしたり覚えたりして活用していきましょう。
平日:もう一度テキストとメモを見る(復習)
受講が終わったら、もう一度テキストと書き込んだメモを読み直して復習しましょう。
先生が線を引いたところは特に重点的に確認することが大切です。テストにでるポイントですからね。
逆に、上の写真のように〇がついていない部分(『天皇について定めた第1章』『財政』など)は、実はそんなに詳しくはテストにでません。
先生が言わなかったところ=最重要ポイントではない、と思って、ある程度は捨てることも大切です。
「ただ合格点を目指す勉強」が目標ですからね!
一般的には、受講直後と翌日の朝いちばんに復習すると、知識の定着が速いといわれています。
自分が一番覚えやすい時間帯を見つけて、効率的に暗記してくださいね。
スムーズにいけば、20分程度で復習できると思います。
ここまでで2時間半~3時間程度たっていると思います。
最初は少ししんどいと思いますが、意識して、このくらいの時間は続けて勉強しましょう。
そうすれば、試験当日には3時間くらい軽く集中できる力がついていますよ。
週末 5日分の復習+行政書士試験の過去問を解く!
毎日新しい知識を詰め込んでも覚えきれません。
暗記をお休みして、週末の3時間ほどを5日分の復習にあてましょう。
テキストとメモを見ながら、
- 正しく暗記できているか
- 制度の理屈を理解できているか
- 講師の話を思い出せるか
を確認してください。
「なんの話だっけ??」と思う箇所は、講座を見直して、もう一度暗記しましょう。
復習ができたら、過去問に挑戦してみましょう(フォーサイトには過去問講座もあります)。
知識をアウトプットすることで、わかっているところ・わかっていないところを整理できます。
おどすわけではありませんが、過去問は結構難しいです。最初はほとんど正解できずに撃沈すると思います。
でも、それで大丈夫です。解説こそが大切なのですから。
- どうしてこの選択肢は〇なのか
- この選択肢のどこがどう具体的に×なのか
フォーサイトの解説はとても端的に書かれているので、根拠がとてもわかりやすいです。
テキストの対照箇所も書いてくれているので、復習も簡単ですよ。
過去問の2巡目以降は、覚えた根拠をメモしながら回答していきましょう。
答えとともに根拠も合っているかを確認すれば、本当に自分が理解できているかを確認できます。
間違えた箇所はもう一度テキストを見返して、復習しましょう。
フリーの日:ときどきテストを受ける
試験までは長丁場ですから、ずっとダッシュで走るのではなく、たまには頭と気持ちを休ませてあげることも大切です。
週に1日はフリーの日を作ってお休みしましょう。
それに、行政書士試験にはいくつか壁があります。
たとえば民法の危険負担など、1日での理解が難しい単元もあるのです。
人それぞれどうしても苦手な分野というのも、そのうち出てくると思います(ちなみにわたくし危険負担は今も苦手デス)。
そんなときの予備としてフリーの日を設けておけば、計画が大きく狂う心配がありません。
「わから~ん!」と思ったとしても「フリーの日にもう一度受講しりゃいいわ」と思うゆとりができるのは、精神的に大切です。
案外時間を置いたらわかることもありますしね。
暗記がひと段落ついたら、テストも受けてみましょう。過去問のタイムトライアルでもいいですし、模擬試験もおすすめです。
模擬試験はフォーサイトにも用意がありますし、他の業者(Wセミナーなど)でも実施されています。
業者ごとに問題の傾向が違いますし、模擬試験だけならそんなにお金はかからないので、できるだけ複数業者のものを受けてほしいなと思います。
私はWセミナーと大原のものを1回ずつ受けたと記憶しています。
どちらも結果は悪かったですが結局は合格できたので、成績や判定に引きずられすぎないようにしてくださいね。
模擬試験は郵送で自宅受験も可能です。自分の長所(得意分野)や短所(苦手な分野)を分析するチャンスなので、どんどん挑戦してください。
おでかけ時:eラーニングを使って復習

画像はフォーサイト公式サイトより
資格講座のeラーニング化が進んでいますが、フォーサイトはMnaBunというeラーニングシステムを使ってオンライン学習も行えます。
音声講座をダウンロードして外出時に復習したり、10分、15分使って確認テストを受けて実力試しをしましょう。
一度受講した内容なら1.5倍速で聞いてもちゃんと聞き取れますので、休日のお出かけのついでに、ささっとながら復習もしちゃいましょう。
ただ聞き流しているだけでも知識の定着に役立ちます。
合格までは音楽ではなく、ManaBunで講座を聞きながら移動するのがおすすめです。
もし、フォーサイトに+αして勉強するなら?
合格者の目から見て、フォーサイトだけでもやりこむにはかなり時間がかかりますし、知識量も(完全に理解できれば)合格には十分だと思います。
でも、ずっと同じテキストや問題だと飽きてきますよね。
それに勉強が進むにつれて「もう少し知識を身に着けたい」「新しい問題に挑戦してみたい」という意欲も湧いてくると思います。
そんなときにおすすめの教材と勉強法をご紹介します。
法律職の公務員の問題集
裁判所書記官や地方上級公務員試験の法律問題は、行政書士試験ととてもよく似ています。
必要な基礎知識の範囲もほぼ同じです。
難易度は行政書士試験の方がちょっと高めかなとも思いますが、同じ事例形式の選択問題なので、初見の問題を解くいい練習になります。
公務員試験の問題集は複数の出版社から販売されており、書店ならたいてい取り扱いがあります。1冊2000円くらいとお手頃です。
上手く活用してフォーサイトの弱みであるアウトプットを補い、推測力を身に着けていきましょう。
公務員試験一般教養の問題集
公務員試験の一般教養問題の傾向はある程度固定されているのですが、行政書士の一般教養問題は正直傾向があまりありません。
なので直接的には役には立たないかも…という気もするのですが、最低限覚えておくべき一般知識の勉強にはなります。
公務員試験で聞かれる程度の教養は、身に着けておきましょう。
速攻の時事
公務員試験やセンター試験の現代社会の勉強でよく使われる「速攻の時事(実務教育出版)」ですが、行政書士試験の一般教養対策にも有効です。
薄くて読むにも楽しい本なので、ぜひ読んで時事問題の基礎を覚えておきましょう。
『理解できたノート』を作る
さきほど「テキストのメモ欄に書き込めばいい」とお話ししましたが、手を動かすのって暗記にはいいですよね。
そこでおすすめなのは、『理解できたノート』を作る方法です。
テキストのポイントを、自分の言葉でノートにまとめて書きだしてみるのです。
たとえば選挙権なら、
『選挙権…
選挙に参加する権利のことで、日本人の成人に保障されている。国民主権の観点から、外国人には保証されない。しかし判例によると、法律で付与することは可能』
というように、要点を短くまとめておくのです。
書くことで、知識だけでなく「あのときあそこに書いた」という記憶として頭に残りますし、記述式問題の練習にもなります。
フォーサイトの行政書士テキストを学んでみて
フォーサイトの教材で、必要な基本知識は十分です。
おさらいになりますが、おすすめの勉強プランはこちらですよ!
- テキストを読む(予習)
- 基礎講座を受講し、メモをとる
- もう一度テキストとメモを見る(復習)
- 5日分の復習+過去問
- フリーの日(ときどきテスト)
- 復習する
- 暇な移動中はManaBunを使ったeラーニング!
というプランです。
1〜3は平日、4,5は週末、6,7はお出かけ時ですよ!(勉強方法のおさらいはこちらから)
できるだけ3時間以上勉強時間をとって、集中力を保ち続ける練習をしていきましょう。
また教材には最低限の基本知識しかないので、それらを組み合わせて答えを推測するアウトプット練習も、早めから始めましょう。
過去問や模擬試験だけでなく、公務員試験の問題集もプラスするのがおすすめです。
では、フォーサイトについては以上です。
⇒引き続きスタディングを使った行政書士合格の勉強をご提案させて頂きます!